ついにパソコン通信の一時代を築いた CompuServe がその幕を下ろした。
感慨深いものがある。
もう何年くらい前のことなのかはっきりとは覚えていないのだが、私が初めてパソコンを買ったのは、実はプログラムを組みたかったからでも、ゲームをしたかったからでもない。パソコン通信をしたかったからなのだ。
当時買ったパソコンは、PC-8801mkIISR。Wikipediaによると、1985年に登場したことになっているので、その頃に買ったのだと思う。
通信と言っても、今のようにルータのようなものがあるわけもなく、使うのは電話。それも懐かしき黒電話。
それを音響カプラという機器にカポッとはめて使っていた。
この機器は懐かしいので今でも大切に保管してある。
通信速度は300ボー。画面に流れていく文字を目で追って読むことができた。しかも漢字が使えず、カタカナしか使えなかった。
「モデム」が登場するのはこのあとのことである。
私がパソコン通信をはじめた頃、日本での商用パソコン通信サービスはほとんどなく、雑誌I/Oを出版している工学社が運営している「テレスター」くらいなものだった。
アメリカではCompuServeが大いに流行っており、私もこれにつなぐことが大きな目的だった。
ただし問題なのが回線。国際通話回線をそのまま使うのは高額すぎるので、KDDI の国際公衆データ伝送サービスVenus-Pに申し込み、これを使って接続した。ただそれでも接続料金が高く、安月給の身に堪えるので、必要な情報を最短の時間で探し当て、すぐに接続を切る、という運用を行っていた。おかげで少しは英語の速読に慣れたような気がする。
そのサービスが、いまだ米国で続いていたと言うこと自体が驚きだが、いよいよサービスが終了したと言うことは完全に一つの時代が終わったなあ、と感慨もひとしおである。
その後日本でも、NiftyServeやPC-VAN、ASCII-net、日経MIXなどの商用サービスが次々と開始され、日経MIXを除くほとんどのサービスに開始時から会員として参加したが(日経MIXは途中から参加)、インターネットの普及とともにサービス形態を変え、生き残ったところは少ない。
とはいうものの、我が家のプロバイダはいまだにNiftyであり、もう23年も利用していることになる。こちらはまだまだ長いおつきあいになりそうだ。