今回の旅行では、
"プリオン説はほんとうか?―タンパク質病原体説をめぐるミステリー (ブルーバックス)" (福岡 伸一)
"生物と無生物のあいだ (講談社現代新書 1891)" (福岡 伸一)
"反省 私たちはなぜ失敗したのか?" (鈴木 宗男/佐藤 優)
の3冊を持って行きました。
結構時間があったので、もっと読めるかとも思いましたが、旅行期間中読めたのは、
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だけでした。
でもこの本は、とっても面白かった!
この著者の本としては、「生物と無生物のあいだ」の方が売れていますが、こちらの本もお薦めです。
Amazonのレビューでは、「反プリオン説の立場で書かれた本」というものもありましたが、実際読んでみると、必ずしもそうではありません。
現在では、狂牛病やヤコブ病の原因となるのは、異常タンパク質である「プリオン」によって引き起こされる。また、「プリオン」には伝染性がある。ということが、いわば一般常識のように語られています。この説を提唱したプルシナー氏がノーベル賞を受賞したことで、いわばお墨付きを与えられたようにもなっています。
この本では、プリオン説を裏付けるものとされている論文を分析し、かならずしもプリオンが病因物質であるとは限らないという考えを示しています。
確かにこの本を読むと、プリオン説ではすべての事象を説明しきれないこと、ウイルス説を現時点で否定する材料はないことなどがわかります。
特に、C型肝炎ウイルスの発見の経緯などを読むと、現在の狂牛病、ヤコブ病の原因をプリオンとすることは、早計ではないかと思わずにはいられません。
また、「特定危険部位」を取り除けば安心、という説明も、少し危なげに聞こえるようになります。
流行に踊らされることなく、冷静に分析することの大切さを伝えてくれる本です。
最近、ある精神科医から「ヤコブ病の患者は、一般に思われているよりも多い」という話を聞き、興味を持っていたところで見つけた本でしたが、読んで大正解でした。
「生物と無生物のあいだ」の方も、楽しみになってきました。
(といいつつも、今は「反省」を読んでます)