文春新書から出ている「この国が忘れていた正義」を読み終わりました。
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同じ著者による「罪と罰、だが償いはどこに?」も買ってはいましたが、未読のまま本棚にしまってありました(^_^;)
この本の主旨は、「現在の日本の刑事制度は、加害者側の更正にばかり力点が置かれ、被害者救済の視点が欠けている」というものです。たとえば性犯罪や殺人そのものを快楽とするような犯罪者については、「更正」はほとんど役に立たず、現在の制度は破綻しているとみています。
たしかに著者の言うとおり、性犯罪は犯罪行為そのものに快楽を感じていることがほとんどなので、その性癖を直すことはほとんど不可能でしょう。神戸の少年Aによる快楽殺人なども同じです。本当に「更正」したのかどうかなんて、誰にもわかりません。
また、被害者への賠償というものにあまり注目されてこなかったのも事実でしょう。
著者の言うとおり、加害者の強制労働により被害者への賠償を行う、ということはもっともよい選択肢のように思えます。
ずいぶん前になりますが、日本でも民営刑務所が開設されたというニュースを見ましたが、あまりの設備のよさにあきれ果てました。あれでは、刑務所に入りたいがための犯罪が起きても不思議ではないなあ、と思わせるものでした。
加害者の更正などに期待せず、被害者救済を第一に考える。そのような制度になることを痛切に願います。