今日は仕事帰りに、007シリーズの最新作「慰めの報酬」を観に行ってきました。
吉祥寺で見ようかとも考えたのですが、劇場がちょっとショボイので、新宿へ。
事前に席を予約していったのですが、以前も書いたように、あらかじめ席を取って行っても、見やすい位置に人が固まって座る羽目になります。
新宿ピカデリーの予約システムは少し改善されて、あらかじめ埋まっている席を表示してくれたので、一つあけて席を取ったのですが、何でわざわざほかの席も空いてるのに、そこに入ってくるかなあ、という感じ。少し窮屈な思いで見ることになりました。
作品的には、前作「カジノロワイヤル」がとてもすばらしかったので、その続編と聞いて非常に楽しみにしていました。
見終わってみると、まあ今回はこんな感じね、っていうところでしょうか。
でも決してつまらない作品ではなく、派手なシーンは満載で、飽きることなく楽しめます。予告編で出てくる場面って、ほとんど始まってすぐに出てくるシーンばかりという感じです。次から次へとアクションシーンが続きます。撮影期間中、けが人が多数出たのもわかる気がします。
ただし、この映画を見るにあたっては、事前に予備知識を持っていた方がいいように感じます。
というのも、蛇口をひねれば水が出てくる日本ではあまり実感の湧かないテーマを扱っているからです。
テーマはずばり「水」。
でも「水」ビジネスの実態を知らない人がほとんどでしょう。私も最近になって今世界で起きていることを知ったばかりです。
なんと世界中の水道事業の9割近くを、たった数社の会社が牛耳っており、飲み水を巡る熾烈な争いが起きている、という事実です。
たとえばイギリスの水道事業は、なんとドイツの企業が運営しており、その企業が事業を始めるにあたって最初にやったことは水圧を下げること。ついで、浄水場の数やそこに携わる人員の削減。当然水は出にくくなり、衛生状態も悪くなります。
アフリカや南米ではもっと悲惨で、世界銀行からの融資を肩代わりする代償として、特定の企業が水道事業を独占し、水道代金の値上げ、料金を払えない人に対する容赦ない供給ストップ。結局貧しい人々は、井戸に頼るほかなく、衛生状態が非常に悪くなっているそうです。
この映画の舞台になっているボリビアも例外ではなく、一時水道事業を民営化し、大問題を引き起こしたこと上がるそうです。その経緯はこちらのページに詳しく紹介されています。
最近は地球環境の問題の一つとして、「水」を取り上げた書籍も徐々に出版されるようになっていて、私も下記の本を読み始めたところです。
"ウォーター・ビジネス――世界の水資源・水道民営化・水処理技術・ボトルウォーターをめぐる壮絶なる戦い" (作品社)
007シリーズでこのような時事ネタが取り上げられたのは、脚本家として「ポール・ハギス」が参加しているからだという話も聞きました。
この人は、「ミリオンダラー・ベイビー」「硫黄島からの手紙」「告発のとき」などにも関わっており、いわゆる「社会派」の映画監督・脚本家・プロデューサーだそうです。確かにどの作品も深みを感じさせるものばかりですね。
興味を持った方は、単なるスパイアクション映画としてではなく、そういう背景があると言うことを含め、楽しんで見ていただきたいと思います。ちなみに前作を見ていないと、話が繋がらないので、観ていない方はあらかじめ見ておきましょう。