アカデミー賞で何かと話題の作品「ラ・ラ・ランド」を観に行ってきました。
私は色々なジャンルの映画を見ますが、基本的にミュージカルは見ません。
普通に話せばいいのに、互いに歌ったり踊ったりするのに強い違和感を覚えるからです。
名作と言われる「ウエストサイド物語」も見たことがありませんし、見たいとも思いません。
不良グループが喧嘩するとき、歌って踊るなんてはっきり行って「バカバカしい」。
最近の作品では「レ・ミゼラブル」をiTunesでレンタルして見たことがありますが、すぐに眠りに落ちました。
「サウンド・オブ・ミュージック」は、歌は歌として扱っていたように思えたので、それほど違和感は持ちませんでした。
で、この作品ですが、私がよくラジオなどで聞く「町山智浩」氏が絶賛していたこともあり、音質がいい映画館で見てみようと急に思い立ちました。
新宿のTOHOシネマズ新宿。
休日でもないのにほぼ満席。人気の高さが伺えます。
「今日も寝てしまうかな?」と思いつつも、いきなり冒頭の歌とダンス。
いかにも「ミュージカル」という始まりにもかかわらず、その演出には正直なところ驚かされました。
話としては、売れないジャズピアニストと女優を目指す女性が出会い、さてどうする、といたって単純なもの。
帰宅してからYahoo映画レビュー見ると、そこを批判して低い点数にしている方も意外に多い。
でもそこは「ミュージカル」。あまり複雑な人間関係や、映画界、音楽界の裏事情のようなものを入れてしまうと、「夢」が壊されてしまうように感じます。
舞台となる場所はLAだとしても、いつの話なのか、年代は少しぼやかしてあるように感じます。
ふつうにiPhoneが出てくるし、主人公が載っている車もプリウス。
しかしもう一人の主人公であるピアニストは、古いオープンカー。
背景の風景も高層ビル群というわけでもなく、どちらかというと古臭いレストランやクラブ。
監督としては、あくまでも「ミュージカル」で筋を通したいのだろうと感じます。
「レ・ミゼラブル」だと、何でもかんでも、セリフを歌にしてしまっている印象がありましたが、この作品は適度に歌がちりばめられているように思います。
ふつうにセリフでのやり取りが続きますし、喧嘩の時に歌ったりもしない。
町山氏も他の映画評論家の方も、途中の「City of Stars」のシーンだけで、この作品を見る価値があると言っているのを聞きましたが、確かにこのシーンは素晴らしい。
しかし私は、オーディションの時の祖母のことを歌うシーン方がグッときました。
ラストのピアノ演奏は、私もちょっと込み上げてくるものがありました。
隣で見ていた女性も、目をぬぐっていたようです。
エンドロールは単にスタッフ、出演者の名前が淡々と流れだけなのですが、その間の音楽が素晴らしい。
いわゆる「マーベル作品」だと、エンドロール後に次回予告みたいなものがあるので、誰も席を立ちませんが、この作品では見終えた作品の余韻を流れる音楽でずっと感じさせてくれるので、観客は席を立とうとしないのです(全員ではないですけどね)。
相当な「ミュージカル嫌い」なのに、今まで見てきた映画のトップ5に入ると言っても過言ではありません。
帰宅してすぐサントラを聴き直しています(アップルミュージックに入っている)。
これはおすすめ。
ぜひ見ておくべき作品だと思います。